上田市中野の若林醸造は今月、台風19号で千曲川に架かる同市内の鉄橋が一部崩落した上田電鉄(上田市)別所線を応援しようと、日本酒の新商品を発売した。商品名は「がんばろう!上田電鉄別所線」。1本につき200円を同社に寄付する。杜氏(とうじ)の若林真実さん(32)=上田市中野=は「『上田は大丈夫。別所線は走っているよ』と発信したい」と話す。
東御市産の酒米「美山錦」を使った特別本醸造。4合(720ミリリットル)で税込み1760円。上田電鉄の了承を得て、ラベルに赤い鉄橋と別所線を走る車両をデザインした。同社は2021年春ごろの全線運転再開を目指しており、若林さんは鉄橋が復旧するまで販売を続ける考えだ。
災害が起きた10月には既に新酒の仕込みが始まっていたが、急きょ企画。定番商品の酒米の一部を原料に充てた。若林さんは「すっきりしていて飲みやすい仕上がり」とする。
台風の影響で市内の取引先の旅館では宿泊キャンセルが相次ぎ、若林醸造の10月の売り上げは減少。飲食店に卸す量も減ったという。「別所線は生活の足であり観光資源。これまでも廃線の危機はあったが、昔からあるものは残したい」と若林さん。行楽客らを呼び戻すことにつながってほしい―とも期待する。
市内のスーパーなどで扱う。問い合わせは若林醸造(電話0268・38・2526)へ。