面を着けた氏子が熱湯を素手ではじき、クライマックスを迎えた上村上町の霜月祭り=12日午前5時54分、正八幡宮

面を着けた氏子が熱湯を素手ではじき、クライマックスを迎えた上村上町の霜月祭り=12日午前5時54分、正八幡宮

長野県 伊那路 祭り・催し

霜月祭り、寒さ忘れ高揚 飯田の8神社で湯立て神楽奉納

信濃毎日新聞(2019年12月13日)

 冬の到来を告げる「遠山の霜月祭り」(国重要無形民俗文化財)が、飯田市南信濃、上村の神社で繰り広げられている。今年は8神社が湯立て神楽を奉納する予定で、12日までに3神社が祭りを終えた。どの会場も地元住民や観光客らが詰め掛け、寒さを忘れるほどの熱気を帯びた。

 先陣を切ったのは7日の南信濃小道木(こどうき)の熊野神社と、上村中郷の正(しょう)八幡宮。昨年まで1日に祭りをしていた神社が神事を簡素化し、例年より6日遅れての始まりとなった。

 熊野神社では、地元中学生たちが白装束に身を包んで舞を披露。参拝者も「湯木」を持って湯立て神楽に参加した。正八幡宮では神楽が夜通し続いた。

 上村上町の正八幡宮は11日の午前中から祭りを始め、12日午前6時ごろに「四面(よおもて)」が登場。天狗(てんぐ)の形相をした「水王(みずのおう)」と「土王(つちのおう)」が釜の熱湯を素手ではじく「湯切り」をすると、大きな歓声が上がった。「木王(きのおう)」と「火王(ひのおう)」が加わると、「ヨーセー」の掛け声とともに舞殿の中を所狭しと跳ね回り、氏子や参拝者がつくる人垣に飛び込んだ。

 上町の祭りで「稲荷」の面を着けて舞った地元の山口雄大(ゆうた)さん(35)は、息を弾ませ「笛と太鼓の音を聞くと自然に体が動きだすね」。愛知県岡崎市から訪れた大村光弘さん(72)は「みんなで騒ぎながら楽しむ、昔ながらの村祭りの雰囲気がある」と話した。

 祭りは13〜15日、残る5神社で行われる。

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