天文台の前で、「千栄小の子どもたちに活用してほしい」と話す尾崎さん

天文台の前で、「千栄小の子どもたちに活用してほしい」と話す尾崎さん

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私設天文台、星空の夢継承して 20年以上、飯田の児童と教室

信濃毎日新聞(2020年1月22日)

 愛知県豊橋市の天文愛好家尾崎金三郎さん(79)=南木曽町出身=らが飯田市千栄(ちはえ)に建てた「毛呂窪(けろくぼ)天文台」が開設から28年を迎え、引き取り先を探している。同県内で社会保険事務所に勤めていた尾崎さんが1991年、「田舎暮らし」に憧れる職場の労働組合員らと共同出資で会員制別荘を開設。翌年、隣に天文台を建て、地元の千栄小学校の児童を毎年招いて天体観測教室を開いてきた。だが会員が高齢化し維持管理が難しくなっており、引き継ぐことを模索している。

 別荘はいろり付きの20畳間などがある木造平屋。複数の候補地から、夜の明かりが少なく観測に適した毛呂窪地区を選び、天文台には230万光年先の星も観察できる反射望遠鏡1基を設置した。

 会員は90年代後半のピーク時は約100人に。多くは家族で訪れ、近くでリンゴ狩りなどを楽しんだ。近所の農家太田いく子さん(69)は、会員の来訪があるたびに自家製の牛乳や果物をお裾分けし、会員たちはお礼にと太田さんからリンゴを買って帰った。

 児童対象の天体観測教室は、地元への恩返しのために始めた。木星や土星を見て、「もっと見たい」と望遠鏡を離れない子どもも。尾崎さんは「子どもたちに千栄の空の美しさに気付いてもらえてうれしかった」と振り返る。

 80人ほどの現会員は60代後半以上。年を追うごとに定期的な草刈りなどにも人を集めにくくなってきた。「施設の畳み方を考える時期になった」と尾崎さん。引き続き子どもたちが利用できるようにしてほしいと望みながら、引き取り先が出てくることを期待している。

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