小布施町出身の日本画家、中島千波さん(74)=東京=の作品展「昇華と深化の画人中島千波」が7日、伊那市の信州高遠美術館で始まった。同町の「おぶせミュージアム・中島千波館」の所蔵品で、学生時代の風刺画をはじめ、人間や自然を独自の感性で描いた59点が並ぶ。5月10日まで。
中島さんはこの日、同館を訪れ、作品を解説。東京芸術大時代、安保闘争が盛んだった1970(昭和45)年に描いた「深淵(しんえん)B」は「椅子の上に一輪の菊を描き権力者への批判をこめた」。同大大学院修了後は人物画に力を注ぎ、縦170センチ、横340センチほどのびょうぶに白装束の7人を描いた「existence」は、人間が文字を獲得する過程を抽象的に表現した。
愛らしい動植物のシリーズや、雑誌や新聞に連載した挿絵の原画も並ぶ。樹齢千年余の桜やツバキのびょうぶ絵は対象を丁寧に観察し、自然の生命力を伝えている。中島さんは「多様なテーマで描いた作品から、それぞれメッセージを受け取ってほしい」。問い合わせは同館(電話0265・94・3666)へ。