小海町にある松原湖周辺の旅館経営者らが8日、同湖を構成する猪名(いな)湖の湖底で熟成させた日本酒「湖底浪漫(こていろまん)」のうち、半数近くの300本を引き揚げた。観光客を呼び込もうと町内限定で提供しているが、新型コロナウイルス感染拡大で県内も外出自粛が進む。引き揚げた一部は、ふるさと納税の返礼品にするなど提供方法を模索している。
湖底浪漫は2018年春に宿泊施設や飲食店などで提供を始め、固定客も多数という。今季は黒沢酒造(佐久穂町)で造った新酒入りの瓶645本(1本720ミリリットル入り)を昨年11月、水温が2度程度に保たれる水深8メートルに沈めた。
町観光協会長の鷹野圭太さん(46)によると、3〜4月の町への観光客は激減。町内へ観光客を呼び込むのは難しい―と考え、町は4月中にふるさと納税の返礼品として取り扱うことを決めた。状況次第で町内の小売店で販売できるかどうかも検討する。
鷹野さんは今年の「湖底浪漫」の仕上がりは「辛口できりっとした味わい」とし、「多くの人に味わってもらえる方法を考えていきたい」。残る345本は湖底に夏まで沈めてさらに熟成させる。