新潟県立植物園(新潟市秋葉区)の熱帯植物ドームが1998年の開園以来初めて、大規模リニューアルした。昨年9月からドームを閉鎖し、3月中旬にお披露目予定だったが、新型コロナウイルスの影響で園全体が休園となり、先延ばしになっていた。5月下旬の再開以降も大々的にアピールしにくい状況だが、職員が園内を案内する教室を再開するなど、来館者に植物に親しんでもらう機会を少しずつ増やしている。
熱帯地域を再現したドームは高さ30メートル、直径42メートルで延べ床面積は1540平方メートル。約20年間で木が成長し、うっそうとした雰囲気で小さい植物の生育も妨げていた。老朽化に伴う改修工事と合わせ、昨年9月から希少種の展示や、コーヒーやカカオなど人間の生活に役立つ「有用植物」の紹介に焦点を当て、土壌改良や植え替えなどをしてきた。
新たな展示は一般的な熱帯植物を間引くなどしてスペースを空け、50種ほど増やして約600種にした。日本の亜熱帯植物のコーナーを設け、小笠原諸島の固有種で絶滅危惧種に指定されている「チチジマキイチゴ」といった見る機会の少ない植物を紹介。
食べ物がどういう植物からできるのか知ってほしいと、複数のコーヒーノキや香辛料になる植物を植えた。他にも花が咲くと何キロ先にも甘いにおいが漂うアカネ科の「エメノプテリス・ヘンリイ」も「国内の植物園では初導入」(同園)している。
ドームにつながる通路にはビッグスワンや萬代橋といった新潟を代表する建物から、カタクリの花が群生する里山の風景に移行する縦3メートル、横5メートルの壁画を設置。都市部から熱帯林に行く高揚感を高められるようにした。植栽リニューアル費は約300万円。
倉重祐二園長は「20年間抜本的な土壌改良ができなかった。新たに植えた植物はまだ小さいので、大きくなる様子を一緒に楽しんでほしい」と話している。