新潟市江南区所島2の小池ろうそく店の新商品「花丸ろうそくギフト」が、第61回全国推奨観光土産品審査会のグローバル部門で最高賞の国土交通大臣賞に輝いた。製作した小池深香(みか)さん(24)は、初の応募での快挙に「まさかこんなに大きな賞を取れると思っていなかった」と喜んだ。
審査会は日本商工会議所などの主催で、毎年開かれている。菓子、食品、民工芸の各部門の中から日本の土産らしさが評価されるグローバル部門は、全国から160点が出品され、昨年12月に発表された。
受賞した商品はアヤメ、ツバキ、ユリの絵をあしらった、球形のろうそく3個セット。大きさは高さ3センチ、直径約4センチ。自然素材の植物ろうを使い、昨年10月に発売した。
ろうそくを球形にすると、溶けたろうがあふれたり、火が消えたりする難点がある。だが「手に取りたくなるかわいいデザインにしたい」とあえて挑戦し、ろうの配合や芯の長さ、太さを調整。試作と燃焼実験を繰り返して開発した。花がない時季に仏壇に供えるために作られた起源があるとされる「花ろうそく」の伝統を守り、日本らしい花の絵柄にこだわり、手作業で一つずつ描いた。
学生時代にはシンガー・ソングライターとして音楽活動に打ち込んだ小池さん。2019年春に音楽に区切りを付け、「自分の家のために働きたい」と家業に入った。得意な絵を生かして絵師として修業を積み、オンラインでの販路拡大にも取り組んでいる。審査会には、父親で店の4代目当主小池孝男さん(56)から勧められ応募した。
孝男さんも過去2回最高賞を受け、店としては14年以来3度目の栄冠。まな娘の受賞に「数ある中で賞に選ばれるのは容易ではない。自信になると思う」とたたえた。
受賞したセット品(3500円)以外にも絵柄は桜や梅など計10種類あり、ばら売りは1個1100円で販売中。「仏壇に供えるだけでなく、リラックスする時間に火をともして、心も温かくなってほしい」と小池さん。「先輩から学びながら一つ一つ丁寧に描き、きれいと思ってもらえるよう繊細な仕事をしたい」と意気込んだ。