新潟県十日町市の着物産地が高度成長期に生み出し、大ヒット商品となった「マジョリカお召(めし)」と「黒絵羽織」を集めた展覧会が、市博物館で始まった。高い技術と開発力で基幹産業発展の原動力となった二つの製品を通して、産地の歴史を振り返っている。
マジョリカお召は、産地の伝統技術を融合させ、ラメ糸や明るい色彩で華麗な模様を織り込んだ着物。戦後、華やかな欧米文化への憧れが高まる中、注目を集めた。その後登場した黒絵羽織は、無地の着物に合わせたスタイルが入学式や卒業式向けの「PTAルック」として一世を風靡(ふうび)し、最盛期には年間110万着を売り上げたという。
会場にはカラフルな草花の柄などが折り込まれた着物や、背面に美しい模様が施された羽織など、館所蔵や個人所有の16点が展示されている。
マジョリカお召の名前の由来となったイタリアのマジョリカ陶器の鮮やかな絵柄のつぼや、製品に使用された糸、メーカーの商品台帳など関連資料の数々も並んでいる。
会場を訪れた同市川治の男性(73)は「長年織物の仕事に携わってきたので当時を懐かしく思い出した。優れた技術で十日町の名を一躍高めた品々を、若い人にもぜひ見てほしい」と話していた。
観覧料500円。3月28日まで。