新潟市秋葉区の居酒屋「てのひら食堂」が始めた、冷凍ピザのインターネット販売が好評だ。県産の小麦粉や佐渡産カキなどを使う食材へのこだわりと、家庭のフライパンで焼くだけといった手軽さが受け、県外からも注文が寄せられる。新型コロナウイルスの影響で来店客が減少する中、店主の男性は「ネット販売には新たなビジネスの可能性がある。地方でも輝ける」と手応えを語る。
店主は小澤一樹さん(40)。岩手県奥州市出身で東京の日本料理店などで腕を磨いた。新潟市出身の妻と結婚し、2017年に妻の父が営んでいた焼き鳥屋の店舗で開業した。「新潟は食材が豊富。産地が近いから鮮度もいい」と素材の良さを生かしつつ、独創的な料理を提供し、常連客も増えていた。
だが、新型ウイルスの影響で昨年3月から客は減少。新たな活路にと思い付いたのが冷凍ピザの販売だった。ピザは2年前に知人からピザ釜を譲り受け、イベントで作って好評だったことから、昨春から店で販売していた。ソースにかつおだしを加えた和風味で、区内の酒造会社の酒かすや、かんずりなど県内の食材をふんだんに使う。
家でも店の味を楽しんでもらおうと、試作を繰り返した。一度下焼きをして冷凍することで、解凍してフライパンで焼くと本格的な仕上がりになった。味はウナギやカキなど4種類。いろいろな味を試しやすいようハーフサイズを用意し、価格は3種セットで2500円からにした。
贈答用のニーズがある12月には約100セットを売り上げ、9割は県外客だった。小澤さんは「今後もピザの種類を増やし、自分のアイデアで食材の魅力を伝えたい」と話した。
問い合わせは同店のホームページ、tenohira-dream.com。