土蜘蛛(左)を退治しようと武士が切りかかる場面

土蜘蛛(左)を退治しようと武士が切りかかる場面

長野県 伊那路

伊那能が30回の節目 躍動感ある舞台を間近で楽しむ

信濃毎日新聞(2021年11月21日)

 第30回記念公演伊那能が20日、伊那市の県伊那文化会館で開かれた。重要無形文化財総合保持者の坂井音重さんの三男、音晴さんら約30人が出演し、能の「土蜘蛛(つちぐも)」、狂言の「二人袴(ばかま)」を披露。約750人が鑑賞した。

 土蜘蛛は、平安中期が舞台で、世の中を混乱させようと僧侶の姿に化けたクモが源頼光を襲い、頼光の家臣が退治する粗筋。家臣と土蜘蛛が相まみえる場面で最高潮を迎え、土蜘蛛が武士に向けて無数の糸を放ったり、刀をよけるために跳ねたりと躍動感のある動きで観客を魅了した。二人袴は、滑稽な動きで会場を笑いに包んだ。

 県能楽連盟や市、信濃毎日新聞社などでつくる実行委員会が主催。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止したため、開催は2年ぶりとなった。伊那東小学校6年の伊藤寛悟(ひろのり)君(12)=伊那市日影=は「能を見るのは初めてだけど、耳が慣れて途中から言葉をよく聞き取れた」と笑顔。坂井音重さんは都合のため、出演しなかった。

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