競りに掛けられるブリ=23日午前7時、七尾市公設地方卸売市場

競りに掛けられるブリ=23日午前7時、七尾市公設地方卸売市場

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七尾市の市場 ブリ不漁、取扱量わずか5%

北國新聞(2021年12月24日)

 七尾、氷見沖の定置網で水揚げされるブリが今季、大不漁に陥っている。七尾市公設地方卸売市場に運び込まれたブリは、前年同期のわずか5%にとどまり、市内飲食店のメニューから姿を消した。北陸ではカニと並ぶ「冬の主役」が不在となり、ようやく戻り始めた利用客からは「旬の味がないのは残念だ」と嘆き節が漏れている。

 23日早朝、七尾市公設地方卸売市場に運ばれたブリは7匹だった。小型の5キロから通常サイズの11キロ程度で、大物の姿はなく、市場関係者は「なかなか活気が出ない」とぼやいた。

 市場によると、今月1~21日に競りに掛けられたブリは994キロで、昨年同期の2万1096キロを大きく下回った。中には1匹しか揚がらない日もあり、競り値も高騰。市場の取引価格は1キロ当たり6千~8千円と前年の1・5~2倍に跳ね上がっている。

 すぎ省水産(七尾市)の杉原省社長のもとには、取引先の民宿や料理店からの引き合いがやまない。23日は4匹を競り落とし、「冬はブリを求めてやってくる観光客も多い。多少値が張っても買わないといけない」と渋い表情をみせた。

 七尾市内の老舗すし店「松乃鮨(まつのずし)」は今季、ブリの代わりにフクラギを出して客の注文をしのいでいる。南智文専務は「例年は11月から出始め、年末には値段の高騰に悩むが、今年はブリの存在を忘れるほど入ってこない。コロナが落ち着いてきただけに残念だ」と話す。

 七尾で揚がったブリは隣の氷見の市場に運ばれることが多く、氷見でもブランド魚「ひみ寒ぶり」の出荷宣言が出せないほどの不振となっている。

 石川県水産総合センター(能登町)は不漁の原因について、富山湾の海水温が低く、ブリの南下が遅れている可能性を指摘する。ただ、本来ピークを迎える12月から時期がずれて、年明けから水揚げ量が増えることもあり、担当者は「現時点で今季が不漁と決めつけることはできない。これから盛り返すことも期待できる」と話した。

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