佐久穂町と小海町にまたがる白駒の池(白駒池、標高2115メートル)周辺の山小屋経営者らでつくる「北八ケ岳苔(こけ)の会」は29日、「苔の森開き」を同池近くで行った。新型コロナ対策で取りやめていた、神事後のコケの観察会が3年ぶりに復活。約20人が、会員の案内で全国的にも貴重なコケの群落を楽しんだ。
原生林の根元に豊富な種類のコケが広がり、日本蘚苔(せんたい)類学会が2008年に一帯を「日本の貴重なコケの森」に認定した。同学会によると、八ケ岳では、国内に自生するコケの約4分の1に当たる519種類が確認されている。
一帯を観光地として整備する活動を進めている同会会長で、山小屋「青苔荘」を営む山浦清さん(68)は「多種多様なコケの世界に触れ、心を癒やしてほしい」と話した。
この日は同学会元会長の樋口正信さん(67)=茨城県つくば市=も訪れ、「世界的にみても質量ともにコケを観察するのにベストな場所。自然をしっかり守る意識も持ってほしい」と話していた。同会では年内に6回、観察会を予定している。