妙成寺の五重塔=2019年12月、羽咋市滝谷町(ドローンから)

妙成寺の五重塔=2019年12月、羽咋市滝谷町(ドローンから)

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妙成寺・五重塔の屋根修復  7月にも、国宝へ弾み

北國新聞(2023年5月30日)

  ●国、県、羽咋市補助

 日蓮宗(にちれんしゅう)本山妙成寺(羽咋市滝谷町)は7月にも、国重要文化財である五重塔の屋根の修復に乗りだす。経年劣化で雨漏りが確認されたためで、国と石川県、羽咋市の補助を受け、最上部に位置する5層目の板葺(ぶ)きを張り替える。同寺は行政の後押しを追い風に、下部の屋根や塔内部の修繕も検討しており、県内初となる建造物の国宝指定へ弾みを付けたい考えだ。

 五重塔の「化粧直し」は33年ぶり。約5千万円の修復事業費については、国が75%、県と羽咋市がそれぞれ7・5%、妙成寺が残り10%を負担する見込みで、同市は6月補正予算案に303万円を計上した。

 妙成寺にある重文建築10棟のうち「三光堂」と「書院」については、2018~20年度に保存修理と耐震化工事が実施されたが、五重塔を含む残り8棟は老朽化が進んでいる。

 市文化財課によると、五重塔の全解体修理は1916(大正5)年以降行われていない。トチノキを使った板葺(ぶ)き屋根の修繕についても90年を最後に20年以上が経過しており、風雨や積雪による損傷が目立っていた。

 昨年秋、市職員がドローンを使って屋根の状況を点検したところ、5層目の屋根が約1メートル四方にわたって崩落しているのを確認。屋根のない部分から雨水などが入れば、内部の柱などが腐食する恐れがある。

 五重塔内部は最下層の1層目から5層目まで階段がなく、維持管理用のはしごが唯一の移動手段となっている。5層目の屋根を修理するには、塔の外に足場を組むしかなく、妙成寺は早急な修繕が必要と判断して文化庁に補助を申請した。

 同寺によると、1~4層目の屋根や内部の柱にも傷んだ部分があり、木材や壁板のつなぎ目には隙間も見られる。日本海に近いことから浜風が強く、塔各層にある軒の四隅を飾る金属製の鈴「風鐸(ふうたく)」は現在、落下しないよう取り外されたままになっている。

 岸博一市長は29日、市議会定例会の提出議案説明で「これからも広く文化財の保存・活用への支援を行う」と強調した。「妙成寺文化財をまもる会」の稲村建男会長は「五重塔は妙成寺のシンボルであり、石川の宝だ。ようやく行政も国宝化へ本格的に動き出したと言える」と述べ、国や県、市の後押しを歓迎した。

 ★妙成寺五重塔 北陸唯一の江戸初期の五重塔で国重要文化財。高さは34.18メートル。1615(元和元)年、加賀藩3代藩主前田利常の生母である寿福院の願いを受けて建立が始まり、前田家御用達で建仁寺流の工匠坂上嘉紹が18年に完成させた。

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