新型コロナウイルス禍で中止や縮小が続いてきた新潟市内の夏祭りの多くが、今年は感染拡大以前の通常開催となりそうだ。関係者は地域経済の停滞で協賛金集めなどに不安を抱えながらも「ウイルスで沈んだ地域を元気にしたい」と意気込んでいる。
阿賀野川ござれや花火(北区、東区)の実行委員会は5月末、4年ぶりの通常開催を決めた。2020年から中止・縮小が続いたが、今年は8月25日、感染禍前と同じ4千発を打ち上げる。
「ウイルス禍の3年間で地域が疲弊した。花火大会の開催で地域が元気になってほしい」。実行委の南博信委員長は通常開催に込めた思いを口にした。
新潟日報社の調べでは、市内の主な夏祭りは、以前の規模に戻して開催するケースが目立つ=表参照=。新型ウイルスの感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことに伴う対応だ。
ただ、協賛金集めはどこも四苦八苦。感染禍で地元の企業が打撃を受けている上、物価高による花火代金の値上げも重なっているためだ。
かめだ祭り(江南区・8月25、26日)実行委事務局を務める亀田商工会議所の山本譲治事務局長は「物価高や新型ウイルスによる経済の低迷で、地元企業からどの程度集まるか」と気をもむ。西川まつり(西蒲区・8月26、27日)実行委の担当者も「花火代金の大幅な値上げで、協賛事業者が減っている」と話す。
感染拡大や人集めへの心配もある。にいつ夏まつり(秋葉区・8月16、19、20日)はメインイベントの民謡流しや屋台まつりをほぼ通常開催する方針だが、実行委を構成する新津観光協会の担当者は「祭りをきっかけに感染が広まらないか、民謡流しの参加者が通常の規模に戻るのか、不安がある」と明かす。
苦労が多い一方で、「地域に活力を取り戻すきっかけになる」と、夏祭りに込める期待は大きい。
黒埼まつり(西区・8月20日)の実行委事務局を務める西区役所黒埼出張所の真壁恒雄所長は「黒埼の元気を出そうと準備を進めている」とする。味方地区ふるさと納涼まつり(南区・7月29日)実行委の大井淳委員長は「どこかで新型ウイルス禍前の状況に戻さなければならず、まつりの通常開催は一つの動きだ。ぜひ訪れてほしい」と呼びかけている。