羽咋市滝谷町の日蓮宗(にちれんしゅう)本山妙成寺で26日、国重要文化財・五重塔の最上層の屋根修繕に向けた安全祈願祭が営まれた。屋根は風雪による経年劣化で一部が崩落し、穴ができている。8月中に着工し、年内に修繕を完了する見込みで、僧侶や檀信徒が工事の無事と国宝指定の機運盛り上げを祈った。
安全祈願は、寺の二世日乗(にちじょう)上人の遺徳をしのぶ「寄合会(きごうえ)」に合わせて営まれた。五重塔の前で藤井教公貫首(きょうこうかんじゅ)らが読経して安全を祈願し、檀信徒が手を合わせた。藤井貫首は「完全な姿で国宝化を迎えるために最優先で修繕を進めたい」と述べ、五重塔以外の保存修理にも意欲を見せた。
五重塔の屋根は薄い板を重ねて張り付けた板葺(ぶ)きで、1990(平成2)年を最後に修繕されておらず、33年ぶりの「化粧直し」となる。妙成寺は国、石川県、羽咋市の補助を受けて計4850万円で直す。
工事中は四方に足場が設置されるが、シートは最下層のみ覆うことで威容を見学できるようにする。修繕の様子を動画撮影し、発信する計画も進めている。