かほく市の特産「高松紋平柿」の旬の味をより長く楽しんでもらおうと、JA石川かほくは今季、氷点下で貯蔵した商品の出荷を本格化させる。生産組合が新たに氷蔵庫を導入、「氷蔵熟成」のネーミングで売り出す。昨季の試験的な販売から出荷数を2・5倍の約6千個に増やし、販路の拡大とブランドの周知につなげる。
高松紋平柿は大玉でつやのある見た目と滑らかな舌触りが特長。甘みも強く、炭酸ガスを用いて渋抜きするため日持ちはするものの、通常の商品は11月中に出荷が終わり、12月までおいしさを保つのは難しかった。
収穫量が多い年は値崩れすることもあるため、出荷期間をより長くしてそうした事態を避けようと、同JAでは3年前から氷温貯蔵に取り組んできた。食品が凍り始める直前の温度で冷却・保管する方法を採用し、氷蔵庫の壁を凍らせて温度を維持することで食品が乾燥するのを防ぎ、鮮度を保つことができるという。
昨季は2400個の柿を保存し、大手スーパー・イオングループのオンラインショップで取り扱われ、冬ギフト向けに出荷した。
今季は、高松紋平柿が県産ブランド農林水産物「百万石の極み」に認定されたことを受け、高松紋平柿生産組合が県、かほく市の補助金を活用して氷蔵庫を導入。収穫した約65トンのうち、約1・5トン(約6千個)を11月上旬から数回に分けて保管していた。
4日は、生産者やJAの職員10人が氷蔵庫から取り出した柿を8個ずつ箱に詰めた。スーパーなどでの販売も想定し、個包装の商品も検討している。
生産組合の蔵岡真吾副組合長(68)=高松=は「氷温貯蔵により良い状態で消費者に届けることができるようになった。冷たい柿をこたつに入りながら、たくさんの人に味わってほしい」と話した。JA石川かほくの担当者は「多くの人に『高松紋平柿』を知ってもらえるよう、今後も取り組んでいきたい」と意気込んだ。