渡辺淳が描いた水上作品の表紙絵や挿絵の原画約60点が並ぶ特別企画展=613日、く福井県おおい町岡田の若州一滴文庫

渡辺淳が描いた水上作品の表紙絵や挿絵の原画約60点が並ぶ特別企画展=613日、く福井県おおい町岡田の若州一滴文庫

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水上文学を彩った故渡辺淳作品 装丁や挿絵原画60点、おおいで特別企画展

福井新聞(2024年6月19日)

 福井県おおい町出身の画家、渡辺淳さん(1931~2017年)が手がけた絵画を紹介する特別企画「渡辺淳展 この絵 彩るは 文学の世界」が同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。同郷の直木賞作家、故水上勉さんの装丁や挿絵の原画など約60点のほか、2人のエピソードを紹介している。10月7日まで。

 今年で水上さんの没後20年になるのに合わせ企画された。渡辺さんは、炭焼きや郵便配達の仕事をしつつ絵を描き始め、日展などに入選。水上さんの約80作品の装丁や挿絵を手がけた。

 水上さんの小説「鳥たちの夜」の上巻・下巻の装丁には、油彩で雪が降る薄暗い光景に鳥を描いた。展示されたキャンバス上側面には、佐分利川(同町)から大島地区の町並みを望む光景が幻想的に描かれ、装丁に描かれていない部分があったことがうかがえる。

 また、新聞連載「故郷」の挿絵も担当。当時、新聞はカラーではなかったものの、原画には水彩などで優しく色づけされている。学芸員の下森弘之さん(46)によると、新聞社には色づけしていない絵を送り、掲載されて返ってきた原画に、後から色づけしていたという。渡辺さんは「白黒だと寂しかったから色を塗ったんだ」と話していたといい、絵に対する思いや考え、人柄が見て取れる。

 このほか、若州一滴文庫で出版した文庫本の装丁や、竹紙に描いた作品なども展示されている。

 一般300円。高校生以下は無料。午前9時~午後5時。火曜休館。問い合わせは同文庫=電話0770(77)2445。

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