ゴールデンウイーク後半の5連休が2日始まり、汗ばむ陽気となった福井県内の名所、観光地は多くの人でにぎわった。北陸新幹線金沢開業後初の大型連休で、首都圏や北関東からの観光客らが例年より目立った。今年の旅行トレンド「安・深・短」(安く、深く、短時間で)にちなみ、ものづくりなどの体験も人気を集めた。
坂井市三国町の東尋坊は関西や中京、北陸など各地から多くの人が訪れ、北陸新幹線を利用した関東の観光客らも目立った。
栃木県鹿沼市の田辺成司さん(25)と茨城県つくば市の深井千紘さん(27)は北陸新幹線で金沢を訪れた後、福井に足を延ばした。北陸は初めてという田辺さんは「新幹線開業で近くなったので。天気もよく、景色がきれい」と満足げだ。東尋坊の通りにある鮮魚・飲食店、やまに水産の山野仁司取締役(45)は「これまで少なかった北関東からの観光客が増えている。(新幹線効果が)長続きしてほしい」と期待を込めた。
外国人観光客も多かった。台湾・台北市の陳水発(ちんすいはつ)さん(81)は北陸新幹線を利用し金沢、能登観光の後に訪れた。約20年ぶりの東尋坊に、「石畳の通りや売店がきれいになったね。美しい景色は変わらない。また来たい」と流ちょうな日本語で話した。
永平寺町の大本山永平寺には「北陸新幹線で行く」などとツアータイトルが書かれた大型バスが次々乗り入れ、金沢ナンバーのレンタカーも目立った。北陸3県を巡るツアーで訪れた横浜市の高尾芳蔵さん(76)、幸子さん(71)夫妻は「かがやきに乗れず、実際の時間で福井への近さは感じなかったけれど、新幹線開通で心理的な距離は縮まった。福井まで新幹線が延びたら、もう一度来たい。早く開通するといいね」と期待した。
新幹線効果は、芦原温泉の旅館にも表れた。まつや千千は2~5日が満室で、女将(おかみ)の伊藤昌代さん(56)は「例年ほとんどなかった関東からの宿泊客が(全体の)約25%に増えた」とうれしい悲鳴を上げた。白和荘もほぼ満室で、埼玉、千葉、東京からの宿泊予約があり、女将の立尾清美さん(52)は「しっかりおもてなしをしてリピーターになってもらい、普段の集客にもつなげたい」と語った。
一方、嶺南は昨年7月に全線開通した舞鶴若狭自動車道を利用して訪れた観光客らでにぎわった。今年3月にオープンした若狭町鳥浜の道の駅「三方五湖」の駐車場は終日、ほぼ満車状態だった。
舞若道を初めて通り、県海浜自然センター(若狭町世久見)に家族4人で訪れた福井市の藤木尚樹さん(39)は「嶺南の観光地が身近になった」と、魚と触れ合うコーナーを満喫していた。