JR東海は19日、飯田線の全通80周年を記念する観光列車「アルプス号」と「秘境駅号」を、伊那市―飯田(飯田市)間、豊橋(愛知県豊橋市)―飯田間でそれぞれ運行した。9月まで展開している「信州デスティネーションキャンペーン(DC)」にも合わせた企画で、約300人の乗客が記念の旅を楽しんだ。
伊那市駅では女性の太鼓グループが演奏し、アルプス号の出発を盛り上げた。鉄道好きでよく飯田線に乗るという下伊那郡豊丘村の小学5年生は母親と一緒に乗車し、「記念の列車に乗るのが楽しみ」。停車駅ではご当地キャラクターのもてなしを受け、ゼリーなど特産品の販売もあった。
豊橋を出発した秘境駅号は、人里離れた山中にあり、秘境駅と呼ばれる7駅にも停車。渓谷美が楽しめる場所では速度を落として運行した。
飯田駅には午後3時半ごろ、アルプス号、秘境駅号が相次いで到着。JR社員や県職員、地元の和太鼓団体などに拍手や演奏で迎えられた。秘境駅号に乗った三重県桑名市の会社員長野弘さん(60)は「(秘境駅では)本当に周りに民家がなくてびっくり」と満足げに話した。
飯田線は1937(昭和12)年8月20日、辰野(上伊那郡辰野町)―豊橋間が全通した。アルプス号、秘境駅号は20日も運行(全て指定席で完売)。同日午前10時から県内では伊那市、飯田、天竜峡の各駅で記念きっぷの販売もある。