無名塾の第6回ロングラン公演「肝っ玉おっ母と子供たち」(北國新聞社後援)は14日、七尾市の能登演劇堂で開幕した。無名塾主宰の仲代達矢さん(84)が、戦争から戦争へと渡り歩く間に大切な子どもたちを失う女商人アンナを熱演。命と家族を描く壮大な反戦劇は戦争を知らない世代の心も揺らし、満席の会場は感動の拍手が鳴り響いた。
仲代さんは戦火を渡り歩きながら、がむしゃらに生きるアンナを全身で表現した。能登演劇堂ならではの舞台奥の壁が開く演出も効果的に使われ、観客を物語の世界に引き込んだ。
仲代さんがアンナを演じたのは1988(昭和63)年の無名塾公演以来、29年ぶりで、当時と同じように、亡き妻の宮崎恭子(隆巴(りゅうともえ))さんの演出で行われた。カーテンコールでは、宮崎さんの写真パネルが掲げられ、出演者が深々と頭を上げて敬意を示すと、客席からはこの日一番の拍手が送られた。