松川村の安曇野ちひろ美術館で4日、ロングセラーの絵本「いないいないばあ」などで知られる画家で絵本作家の瀬川康男さん(1932〜2010年)の企画展が始まった。同美術館と信濃毎日新聞社の主催。愛知県出身で、1982(昭和57)年から青木村で暮らした瀬川さんが日記につけた言葉を手掛かりに、絵本の原画やタブロー(一枚絵)など75点を展示した。
企画展の題名は「瀬川康男 坦雲亭日乗(たんうんていにちじょう) ―絵と物語の間(あわい)」。瀬川さんは青木村の自宅を「坦雲亭」と呼び、歴史絵本「絵巻平家物語」シリーズなどを生み出した。何枚もの絵を連続で描く「早描き」の手法で描いた観音像や、約10年かけたタブローの不動明王像を展示。日記「坦雲亭日乗」の言葉と共に、絵巻平家物語の原画や植物スケッチなども紹介する。担当の宍倉恵美子学芸員は「どんな思いで描いていたか、生きた証しを感じ取ってほしい」と話す。
信州ゆかりの絵本画家いわさきちひろ(1918〜74年)の作品や愛用品などの展覧会も併催。12月15日まで。入館料800円、高校生以下は無料。第4水曜日は休館。