福井県坂井市丸岡町山久保の久保田酒造で11月23日、辛口純米酒「鬼作左」の初搾りが行われた。今年の出来について久保田直邦社長(58)は「去年より辛い。切れもいい」と満足感を漂わせた。
鬼作左の酒名は、陣中から「一筆啓上」と妻に送った手紙で知られる戦国武将・本多作左衛門の異名にちなんだ。酒蔵近くの水田で作った酒米「山田錦」と地下200メートルからくみ上げた水を使用している。
初搾りは、酒袋から漏れ落ちる一滴一滴を集める「袋吊(つ)り」で行った。蔵人6人が発酵が進んだもろみを布袋に丁寧に注ぐと、酒の滴がタンクに集まり、酒蔵には甘い香りが漂った。
袋吊り搾りで造った新酒は、機械搾りに比べて味に調和があり、口当たりがやさしくて甘く感じるのが特長。さっそく利き酒した久保田社長は「1週間ほどでもう少し味が落ち着いて、まろやかになる」と話した。
2100本を醸造する袋吊り搾り酒は、720ミリリットルで税込み1793円。機械搾りは税込み1474円。12月1日に発売する。