上田市塩田平を中心とした一帯の日本遺産を巡る「札所めぐり健幸ウォーク」が29日、2日間の日程で始まった。観光振興に取り組む地元の有志グループが、地域にある日本遺産の認知度向上につなげようと初めて開催。秋晴れの下、参加者20人が文化財や観光施設を回った。
参加者は別所線で塩田平を訪れ、1693(元禄6)年に設けられたと伝わる札所巡りを開始。その一つの前山寺(ぜんさんじ)では、室町時代に建てられたとされる重要文化財・三重塔を見学した。日本遺産を構成する文化財の一つでもあり、ガイドは「一部は未完成だが、不自然さはなく調和感がある」などと説明。参加者は「未完成の完成塔」とも呼ばれる由来について、熱心に耳を傾けていた。
参加した西沢夏江さん(61)は約2週間前に茨城県から上田市に移住。山登りと御朱印集めが趣味といい、「日本遺産を知り、住民らと交流する良いきっかけになると思った。みんなで歩いて回る過程から楽しかった」と話した。
一行は別所温泉に宿泊し、住民や市職員を講師に塩田平の歴史や民話について学んだ。30日も札所巡りを続ける。