長野市は8日、江戸時代に建てられ保存修理を終えた同市松代町の武家屋敷「旧横田家住宅」(重要文化財)の一般公開を再開した。工事に伴い2018年12月を最後に公開を中止していた。修理によって大きくどっしりした屋根のかやを約30年ぶりにふき替え、耐震性能を強化した。
市と市教育委員会は公開に先立ち現地で式典を開催。関係者約30人が出席し、加藤久雄市長は「城下町松代の貴重な建物。文化財を核に据えた魅力あるまちづくりを進めたい」とあいさつ。終了後、出席者は邸内を見学した。
松代藩真田家に仕えた中級武家・横田家の屋敷。表通りから門をくぐって敷地(約3300平方メートル)に入ると、厚さ約60センチのかやぶき屋根が特徴の主屋が現れる。その奥に隠居屋、土蔵、庭園、菜園が広がる。これらがまとまって残る武家屋敷は松代町でも珍しいという。市教委は「松代の原風景の一つ」とする。
市教委は傷んだかやのふき替えに合わせて耐震診断をし、18~20年度に保存修理を実施。新たなかやは京都府と大阪府、宮城県から取り寄せて職人がふき替えた。床下や天井裏に鉄骨を配して補強し、土壁内部の下地材の代わりに耐震用合板を入れた。横田家を紹介する展示スペースも設置した。総事業費は2億1千万円。
市教委は17日、市教委文化財課担当者による整備報告会を現地で開く。午前10時と午後1、3時から各1時間。定員は各回10人。申し込みは同課(電話026・224・7013)へ。
通常開館は午前9時~午後5時(年末年始休館)。入館料は高校生以上400円(小中学生100円)。報告会への参加は入館料が必要。