江戸時代から大鹿村に伝わる地芝居「大鹿歌舞伎」(国重要無形民俗文化財)の春の定期公演が3日、同村の大磧(たいせき)神社であった。新型コロナウイルス対策で無観客とし、ケーブルテレビや動画投稿サイトで生配信。役者たちは新緑の境内で胸に迫る悲劇を熱っぽく演じた。
平家物語の一ノ谷の合戦を題材にした作品「一谷嫩(いちのたにふたば)軍記須磨浦の段」。源氏方の武将・熊谷直実(なおざね)が、平家方の若武者・平敦盛(あつもり)を討つが、息子と同世代であるため葛藤する。敦盛の婚約者・玉織姫も殺され、直実は2人の命が失われたことに涙を流す。
今回出演した4人は30~40代。三味線で弾き語る太夫で、信州大鹿歌舞伎愛好会事務局の北村尚幸さん(61)らが配役を決めた。演技をそばで見ていた北村さんは「彼らにこれからを担ってもらいたい」と期待していた。
ユーチューブで配信された動画は8日まで視聴できる。