年末年始の休みが27日始まり、山で過ごす人たちも続々と入山した。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊と県警山岳遭難救助隊はこの日、北アの玄関口上高地に通じる松本市安曇の中の湯に冬山登山相談所を開設。31日までの5日間、年末年始を山で過ごす人向けに天候や積雪に関する情報を提供する。
初日は午後4時までに36パーティー101人が入山し、両隊員らは「天候が崩れる予報なので無理をしないで」と呼び掛けた。遭対協救助隊によると、27日朝の上高地の積雪は約50センチで例年の2倍近い。3泊4日の日程で蝶ケ岳を目指す6人パーティーの布田仁さん(63)=川崎市=は「厳しい環境に挑戦できるのが冬山の魅力」と話した。
遭対協救助隊などは27日、安曇野市穂高にも30日までの日程で相談所を設置。山口孝隊長(67)は「冬山は天候が悪化すると身動きが取れなくなるので、撤退など早めの判断が必要」と強調した。
山岳気象が専門の気象予報士猪熊隆之さん(茅野市)は、この年末年始の県内の山岳地域は吹雪となる日があり、稜線(りょうせん)付近では風が強いとする。大みそかと元日は「南岸低気圧の通過後で、冬型の気圧配置となり、強い寒気の影響で山は荒れた天気となる」とみている。
県警地域課によると、昨季の冬山シーズン(昨年12月〜今年3月)の県内の山岳遭難は前季比6件減の28件、死者は7人減の7人。うち年末年始(12月29日〜1月3日)は遭難が8件あり、死者は1人だった。