約600年前に始まったとされる長野県下伊那郡天龍村坂部地区の「坂部の冬祭り」(国重要無形民俗文化財)が4日夕から5日昼にかけ、地元の大森山諏訪神社で行われた。神子(かみこ)と呼ばれる舞い手が鈴や刀などを持って夜通し舞を繰り広げ、約50人の観客が境内のたき火で暖を取りながら伝統の舞を見守った。
坂部地区の在住者や出身者に加え、今年は村地域おこし協力隊の村沢雄大さん(27)も神子として初参加した。神子たちは4人一組となり、鈴や布などを持って湯釜の近くで舞を披露。空が白み始めた午前6時半ごろ、鬼の面「たいきり面」をつけた赤鬼が登場すると、祭りの盛り上がりは最高潮に達した。神子が持ったたいまつを赤鬼がまさかりで切りつけて火の粉が散ると、多くの見物人がシャッターを切った。
村沢さんは「氏子の人たちから舞が上出来だと褒められてうれしかった」。祭りを見物した飯田市松尾新井の小島洋志さん(76)は「休まずに夜通し舞を続けるエネルギーがすごかった」と話していた。