3月14日の北陸新幹線(長野経由)金沢延伸と4月に始まる善光寺御開帳を控え、長野市街地などで観光客増加による土産品需要を見込んだ小売業者や食品メーカーの動きが活発化している。善光寺の門前町周辺では多くの事業者が店の改装や新商品の開発に着手。新幹線新駅が完成した飯山市でも、新たな名物を生み出そうとする動きがある。
善光寺表参道に面した老舗菓子店の風月堂(長野市)は現在、約40年ぶりの店舗改修を進めている。広さ約100平方メートルの店舗は壁や床、天井など内装を一新し、生菓子や抹茶などが味わえる8席の「休み所」を新設する計画。屋根瓦も新調し、計約3500万円を投じる。
新装オープンは来月20日ごろの予定。宮島章郎社長は「御開帳という大きなイベントに新幹線延伸が重なり、北陸地方からの観光客増加が確実に見込める。長野市にとって追い風の年で、乗り遅れてはいけない」と力を込める。
「木の花屋」ブランドを展開し、表参道にアンテナショップがある漬物製造販売の宮城商店(千曲市)は、観光客の食べ歩きや持ち帰りの需要を狙い、新商品のもなかを3月に発売予定。漬物を合わせたあんこをもなかの皮で包む斬新さが売りで、宮城恵美子専務は「漬物を使ったこんな珍しいお菓子が―と観光客の話題になればいい」と期待する。
みそ製造販売の酢屋亀本店(長野市)は3月上旬、ソフトクリームに甘酒を混ぜ込んだ「甘酒ソフト」を仲見世通りの店舗で発売する。同社の売り上げ全体の2割を占めるようになった甘酒の人気に着目。仲見世通りの店舗ではみそを練り込んだ「みそソフト」が長年の定番だったが、新たな名物にしようと開発した。
弁当製造や受託給食サービスを手掛けるデリクックちくま(同)は3月14日に、御開帳にちなんだ2種の駅弁を発売する。一つは肉や魚を使わず野菜を中心とした料理を盛り込み、善光寺の宿坊が出す精進料理をイメージ。もう一つは信州サーモンや信州ポークといった県産食材をふんだんに使う。
洋菓子店パティスリー・ヒラノ(飯山市)は新幹線飯山駅開業に合わせ、県産リンゴを使ったタルトを3月に発売する。ベルギー産の高価なてん菜糖で煮たリンゴを載せて風味豊かに仕上げたのが特徴で、箱詰めで1500円で販売。信州いいやま観光局(同)が駅舎内に開設する交流ホールで提供する計画もある。平野信一社長は「飯山ならではの菓子を作りたかった。リンゴ生産者の応援にもなればいい」と話している。