富山地方鉄道(富山市桜町)と加越能バス(高岡市江尻)、ホテルニューオータニ高岡(同市新横町)の交通・観光関連3社が25日発表した2016年3月期決算はそろって増収となり、北陸新幹線の開業効果が鮮明になった。富山地鉄は観光客の増加で鉄軌道の利用が絶好調で、ホテルニューオータニ高岡は宿泊者が大幅に伸び、ともに経常黒字に転換した。加越能バスも貸し切りバスの需要増などで業績を改善した。半面、東京行きの高速バス利用減などの影響も出た。
「ここまで大幅な伸びは経験がない」。富山地鉄本社で会見した辻川徹社長は満面の笑みを浮かべた。
単体の営業収益は前期比7・5%増。鉄道と軌道(市内電車)、貸切バス、路線バスの4部門全てで増収となった。中でも好調ぶりが際立ったのは立山・宇奈月方面の鉄道需要で、観光客を中心に定期券以外の乗客数が6割増えた。
加越能バスは13・4%の増収となり、経常赤字を2割以上圧縮した。観光需要で貸し切りバスの売上高が4割増え、高岡市と県内外の観光地を結ぶ路線バスも利用が伸びた。稲田祐治社長は「新幹線効果は期待以上だった」と振り返る。
ホテルニューオータニ高岡は、宿泊部門の売上高が15・6%増えた。観光目的で来県した少人数のグループや家族の利用が目立ち、「週末は満室状態が続いた」(藤木正和社長)という。運営する北陸自動車道有磯海サービスエリアの店舗売り上げも過去最高を記録。同社は新幹線開業で北陸に注目が集まった結果、マイカーで訪れる人も増えたと分析している。
一方、マイナスの影響もあった。富山地鉄と加越能バスがそれぞれ運行する高速バスのうち、新幹線と競合する東京行きの利用者が減少。ホテルニューオータニ高岡は、新幹線沿線の長野県・軽井沢町でのリゾートウエディングに顧客が流れ、婚礼の件数が減った。
今後については「開業2年目が勝負」などと、各社は新幹線効果を持続させる取り組みを強化する方針だ。