長野県飯山市瑞穂の小菅区に伝わる国の重要無形民俗文化財の「柱松柴燈(はしらまつさいとう)神事」が17日、小菅神社で行われた。境内に立てた2本の柱松に火を付けて天下太平か五穀豊穣(ごこくほうじょう)かを占う。3年に1回の神事とあって、県内外から訪れた多くの観客が見守った。
修験者たちの技量比べと農作の豊凶を占う神事として、中世以前に始まったとされる。雑木などを材料にする柱松は高さ約4・4メートルで、天下太平の「上(かみ)」と五穀豊穣の「下(しも)」が立ち並んだ。若衆が「松神子(まつみこ)」と呼ばれる小学1年の男児を頂上に引き上げ、火打ち石で火をおこしてススキに点火した後に約50メートル先の「休石(やすみいし)」へ松神子を連れていき、その到着の速さを競う。
今回は、「下」の柱が先に火が上がり勝利した。境内は歓声と拍手に包まれた。盛んに写真に収めていた福岡県新宮町から訪れた自営業小松徳仁さん(49)は2010年以来の訪問といい、「地域の一体感がある。また来たい」と満足そうに話した。
神事は、担い手不足で1968(昭和43)年から3年に1回となり、2011年に国の重要無形民俗文化財になった。小菅柱松保存会会長の望月武さん(73)は「周囲の関心が高くなっている。伝統を後世につなぎたい」と話した。