北斎が歩いた道をたどろうと、荒川をカヌーで出発した神山さん(左)=13日、都内

北斎が歩いた道をたどろうと、荒川をカヌーで出発した神山さん(左)=13日、都内

長野県 志賀高原・飯山・北信濃 その他

晩年の北斎、歩いた道は 信大出身作家、東京から小布施に出発

信濃毎日新聞(2017年9月14日)

 ノンフィクション作家の神山典士(こうやまのりお)さん(57)=東京、信州大出身=が、江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎(1760〜1849年)が晩年に歩いた道をたどろうと13日、北斎ゆかりの東京都墨田区から上高井郡小布施町に向けて出発した。墨田区や小布施町を「北斎の聖地」として打ち出すプロジェクトの一環で、来春にも幻冬舎(東京)から北斎を読み解く本を出版する予定。北斎の視点で行程を体験取材し、著書に反映させる。

 今の墨田区に住んでいた北斎は80代の時、創作活動を支えた小布施町の豪農商高井鴻山(こうざん)(1806〜83年)を頼り、小布施を4度訪れたとされる。小布施滞在中に新しい画風の肉筆画を開拓し、傑作を残した。

 墨田区から小布施までの距離は約250キロ。神山さんは「道中にどんな魅力があり、どんな風景が広がっているのか。過酷さも含めて追体験したい」。北斎を巡っては今年、ロンドンの大英博物館で北斎展が開催されるなど世界的に関心が高まっており、「印象派の画家たちに大きな影響を与えた北斎の魅力をもっと知ってほしい」と話す。

 北斎がまず舟で北上したことを受け、神山さんらは13日朝、墨田区の神社を参拝した後、江戸川区の荒川をカヌーで出発。2泊3日の行程で主に徒歩で群馬県高崎市へ向かう。10月に高崎市から同県の北軽井沢、11月に北軽井沢から小布施町の間をそれぞれ歩き、計250キロを踏破する。

 プロジェクトは、小布施町の出版業者や、墨田区の観光業者らが、北斎を通じて観光や文化交流を盛り上げようと企画。県内にゆかりがあるノンフィクション作家の神山さんに執筆を依頼した。近くインターネットで寄付を募るクラウドファンディングで海外取材費、書籍の英訳費用など計500万円を集める。

今月のお得な国内ツアー びゅう

志賀高原・飯山・北信濃 ニュース