福井城が350年ぶり"出現"。福井県は9月20日、天守や本丸御殿など城郭施設のCG映像の提供を始めた。スマートフォンなどで専用アプリをダウンロードすると、画面を通じて往時の姿を楽しむことができる。
映像は三谷コンピュータ(坂井市)が制作し、凸版印刷(東京)が提供する体験型観光アプリ「ストリートミュージアム」内で配信している。アプリを作動させて特定の地点へ向かうと、画面に江戸時代の福井城の360度映像が映し出される仕組み。内容は福井工大のFUT福井城郭研究所の多米淑人副所長が監修した。
映像を閲覧できる地点は天守台跡や坤櫓(ひつじさるやぐら)周辺など10カ所。御廊下橋(おろうかばし)と山里口御門(やまざとぐちごもん)周辺では、現在の風景に天守の映像が合成されたものを見ることができる。古地図モードも用意されており、現在地が福井城のどの辺りかを確認しながら町歩きを楽しむこともできる。
復元映像の解説文章を掲載しているほか、周辺観光情報も20件あり、現地に足を運べなくても楽しめる設定になっている。通信料以外は全て無料。
福井城は1606年に完成。1669年に大火に遭い多くの建物を焼失、天守は再建されないまま今に至っている。県は観光面での活用を見込んでおり、20日には地元のボランティアガイド約20人を対象に体験会を開いた。