競技かるたを題材にした福井県あわら市ゆかりの人気漫画「ちはやふる」の原画展（福井新聞社後援）が同市金津創作の森で開かれている。サイン会で６月８日に同市を訪れた原作者の末次由紀さんが福井新聞のインタビューに応じ、"聖地あわら"の魅力や、主要登場人物で同市出身の「綿谷新（わたやあらた）」にちなんだまちおこしなど地元の盛り上がりに対する思いを語った。

　－東京、大阪、名古屋で原画展を開いてきたが、今回のあわら市での開催をどう感じているか。漫画に登場するあわらの風景などを集めたコーナーもある。
　「来場者が単に『ちはやふるの原画展に来た』というのとは違い、新の地元、実家辺りというか『新の住んでいるまちに来たんだ』という気持ち。そういう切り口をファンの方々に見つけていただけるすごくいい機会になった」

　－地元では有志が新の誕生会を開いたり、市内の商店などでは店の一角にちはやふるコーナーを常設し、オリジナルグッズを作って販売したりしている。
　「近所や親戚の男の子といった絶妙な距離感で新をとらえ、実在しているかのように応援してくれているのはうれしい。地元の盛り上がりを見て、改めて、その土地ならではのキャラクターにした意味があったと思っている。訪れたファンが、漫画の中だけでは分からない魅力を発見できるようになっていることに感動する」

　―あわら市が毎年実施しているイベント『ちはやふるｗｅｅｋ　ｉｎあわら』も６年目になる。３月には作品に登場する桜並木を「あらた坂」と命名して石碑も建立した。
　「皆さんの根気強い取り組みが実を結んで聖地になったのだと思う。聖地と呼ばれる場所はいくつかあるが、このような形で作品を応援していただいたことはない。盛り上がりはあわらが一番」

　－あわらには、今回を含め５回ほど訪れているそうだが印象は。
　「市民の皆さんが良い意味で距離感が近く、地元に帰ってきたような温かい気持ちにさせてくれる。人柄や持っている空気感がすごく好き。何度も足を運びたくなる魅力を持ったまち。ファンにもあわらや福井の良さが、しっかりと伝わっている」

　原画展は２３日まで。表紙や扉絵の原画、連載中の漫画誌「ＢＥ・ＬＯＶＥ」の生原稿など１６０点余りを公開している。２２日は金津創作の森で声優の瀬戸麻沙美さん（千早役）と細谷佳正さん（新役）のトークイベント、２３日はグランディア芳泉で、トークショーとアニメの主題歌を担当するバンドのライブがある。詳細は公式サイト（「ちはやふる　あわら」で検索）で。