国際的に高い評価を受けた現代美術作家、故小野忠弘さんに師事し、小野作品の収集家でもある福井県坂井市の和順光(わじゅんこう)さん(70)が、小野さんの代表作「アンチプロトン」(1959年)を同市みくに市民センターに寄託した。来館者の目に留まるよう入り口に掲げられた作品は存在感抜群。和順さんは「多くの市民に小野作品を楽しんでほしい」と話している。
和順さんは、三国高美術部で教員だった小野さんに教わり、小野さんの晩年まで親交を結んだ。多作で知られる奇才のアトリエに通い、作品をこつこつ買い集めた。
半立体の「アンチプロトン」は米雑誌「ライフ」に紹介され、ジャンクアート(廃品芸術)の旗手として世界から注目を集めた作品。直径約180センチの円形の鉄板に自転車の車輪やガラス玉などの廃棄物が、びっしりと貼り付けられている。30年ほど前に小野さんから直接購入した。
寄託は「自宅で保管しておくのはもったいない」と、2017年11月の同センター開館当初から考えていたと言い、20年間展示する。和順さんは「芸術は、難しいと思うのが当たり前。自分なりの感じ方で作品を見てもらえたら」と話していた。