書や絵画、陶芸などさまざまな分野で才能を発揮した北大路魯山人(1883~1959年)を世に広めた福井県福井市出身の作家、故白崎秀雄さんの著作の特集が、同市の県ふるさと文学館で開かれている。魯山人の才能をいち早く見いだし、独自の感性で作品の魅力をひもといた伝記やエッセーなど12冊が並ぶ。7月7日まで。
同市美術館で開かれている北大路魯山人展(同美術館、福井新聞社でつくる同展実行委員会主催)に合わせて企画した。白崎さんは美術工芸分野の伝記を多く執筆。魯山人の生い立ちから多彩な芸術活動までを描いた「北大路魯山人」を71年に出版、85年にはさらに詳細な情報を加えた同タイトルの新版を発刊した。
白崎さんは当初、魯山人の作品に否定的な視点を持っていたものの、ある店で魯山人が作った皿で料理を出された際、「思わずはしをおいてみとれた」「味覚の一部を形成していた」などと感銘を受けたという。「北大路魯山人」のあとがきでは「天才」と呼び、高く評価していたことが読み取れる。
同文学館の学芸員は「魯山人の研究者として第一人者といってもいい。まだ魯山人が有名でなかった時代に、才能を見いだした作家が福井にいたことを知ってもらえたらうれしい」と話した。