北アルプス・西穂高岳(標高2909メートル)の西穂山荘(標高2367メートル)が主催する初心者向けの「冬山安全登山講習会」が8日、3日間の日程で始まった。北ア南部地区山岳遭難防止対策協会のメンバーらが講師。44人が山荘や、近くの丸山(同2452メートル)などで実技や座学で学ぶ。
多くの参加者は新穂高ロープウェイ(岐阜県高山市)の西穂高口駅に集合。アイゼンの装着方法、アイゼンに頼らずに雪山を歩く方法などを学び、山荘を目指した。山荘周辺の積雪は2メートルほど。夕方は丸山を目指して歩き、ビバーク時の注意点や、強風に飛ばされないようピッケルを使って踏ん張る姿勢を学んだ。
山荘周辺で雪庇(せっぴ)の踏み抜きなど、知識や技術があれば防げた事故が目立つため、常務取締役で支配人の粟沢徹さん(57)が企画し3年目。大阪府の会社員西村弘美さん(53)は「昨年友人から冬山に誘われたけれど、装備や技能がなく、行けなかった。ここで学びたい」と話した。
県警山岳安全対策課によると、県内で今年起きた山岳遭難は2日までに7件で、昨年同時期より3件少ない。雪が少なく、スキー場のリフトなどを経由してバックカントリースキーなどに向かう人も少ないためという。