善光寺(長野市)は8日、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう医療従事者らへの感謝や早期終息への願いを込め、「共感の鐘」と名付けて境内の鐘を鳴らす取り組みを始めた。31日まで毎日午後5時に5回打ち鳴らす。初日も鐘楼に夕日が差す中、厳かな音色を響かせた。
鐘は、平和の実現などを願った1998年長野冬季五輪で、開幕を告げるために鳴らされた。「共感の鐘」の取り組みは、当時市長だった塚田佐さん(84)と、同五輪組織委員会でボランティアコーディネーターを務めた市内の丸田藤子さん(81)が寺に提案して実現。2人はこの日、寺を訪れ、鐘に手を合わせて見守った。
鐘には新型コロナによる犠牲者の追悼や、感染者らを見舞う気持ちも込める。善光寺では現在、感染防止のため本堂内陣の参拝などを中止している。若麻績享則寺務総長(58)は「善光寺も普段通りの参拝ができない状態だが、鐘の音を通じて、平和への祈りや(終息などを願う)共感の輪がさらに広がってほしい」と願った。
10〜31日の毎週日曜日の夕方には、善光寺と縁があり、「共感の鐘」に賛同した全国の寺社が一斉に鐘を突く。