福井県あわら市は6月18日、新型コロナウイルスへの対応として、子どもや観光客が利用する車両内の安全性を高めようと、市が所有するバスに最先端の抗菌加工を施すデモンストレーションを行った。わずかな光でも抗菌効果を発揮する技術で、市は小中スクールバス17台への加工を一歩に、交通事業者や温泉旅館の送迎バスにも拡大していきたい考え。
抗菌・消臭コーティング技術には光触媒が使われ、あわら市出身の米倉和秀氏(59)が社長を務めるバス部品商社、エムシー(小松市)が取り扱っている。観光バスやタクシーで実績があり、接触感染防止などの効果が期待されている。
今回のデモンストレーションは「バスなどの交通事業者に早く立ち直ってほしい」(米倉社長)との思いでエムシー側が提案し、無償でバス内を抗菌加工した。市内の交通事業者や旅館関係者が集まり、スプレーガンで座席や天井、カーテンに抗菌加工する作業を見学した。
エムシーなどによると、コーティング面にLEDや蛍光灯、弱い光が当たると活性化し、空気中の水分と反応して活性酸素が発生。菌や有害有機物質が分解される。持続効果は約2年。インフルエンザやノロウイルスへの効果は既に確認されており、新型コロナを含む他のウイルスの非活性化効果も期待されている。
市は小中学校やこども園のバスにコーティングを施す予定。あわら温泉旅館の送迎バスや乗り合いタクシーにも広げたい意向で、佐々木康男市長は「意見を踏まえて補助制度を検討する。市民や観光客に安心して利用してもらうことが大切になる」と強調。あわら観光の松原淑裕社長(56)は「業界の環境は大変厳しいが、お客さまの安心安全のため前向きに考えたい」と話していた。