長野市松代町の国史跡「旧文武学校」の保存修理工事がほぼ終わり、１０月１日にリニューアルオープンする。情報技術（ＩＴ）や仮想映像を使った体験型の展示も準備。当初は７月の再開を目指したが、昨年１０月の台風１９号災害や新型コロナウイルスの影響などで延びていた。

　市教委によると、建物自体の工事は３月に終了。展示用に空撮予定だった河原が台風１９号で荒らされたため、撮影が延期。東京都内の業者が新型コロナの影響で現場入りできなかった期間もあり、ようやくオープンとなる。

　仮想映像で砲術訓練を見られるようにし、火縄銃などの複製品を備える。使われていた教科書を読んだり、クイズを解いたりできるタブレット端末も用意。市教委は「文武学校は地域で守られてきた。（リニューアルを）歴史的価値を見つめ直す機会にしたい」としている。

　文武学校は松代藩士の子弟が学ぶ場として１８５５（安政２）年に開校。文学所や剣術所などが残る。１９５３（昭和２８）年に国史跡に指定され、７０年代に「昭和の大修理」を実施。東日本大震災などを受け、２０１１年度から保存修理や耐震補強を進め、１９年４月から閉館していた。