英語で「タワー」と表現する外国人が多かった松本城天守

英語で「タワー」と表現する外国人が多かった松本城天守

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松本城天守、英訳はタワー? 世界遺産登録に向け調査

信濃毎日新聞(2020年9月8日)

 松本市の国宝松本城天守を英語で表現すると「Castle(キャッスル、城)」ではなく「Tower(タワー、塔)」―。松本城の世界遺産登録を目指す市が、城を訪れた外国人観光客に天守の表現を聞いたところ、タワーが最多の47%で、2番目のキャッスルの11%を上回った。世界遺産登録に向け、こうした表現を提案書づくりの参考にするとしている。

 「タワー」には、塔以外にも、城の防衛拠点との意味がある。市などは天守が権力の象徴や防御の拠点だったことから「タワー」が使われているとみる。日本では城主の住まいが天守とは別にある一方、西洋では天守の役割を果たす建物に城主が住んでおり、こうした違いも関係しているという。

 調査は松本城で外国人をガイドするNPO法人アルプス善意通訳協会(ALSA)が協力し、昨年6月から今年3月に実施し、1222人が回答した。回答者は米国、オーストラリア、英国などからの個人旅行者が中心だった。

 3位は「Keep(キープ)」の8%、4位は「Donjon(ドンジョン)」の6%。ともに城の中心となる建物を表す。「Temple(テンプル、寺)」(2%)や「Shrine(シュライン、神社)」(1%)という表現を選ぶ人もいた。

 市は現在、松本城の英語版パンフレットでは「ドンジョンタワー」、小学生用の英語版副読本では「メインキープ」と表現しており、天守に「キャッスル」という表現は使っていない。

 ALSAの中田和子理事長は、城を表す英単語としてなじみの「キャッスル」は城郭の意味があり、松本城では三の丸までを含む範囲になると指摘。天守の表現として以前は「ドンジョン」と通訳したが、「Dungeon(ダンジョン、地下牢(ろう))」と聞き間違えるケースが多く、6年ほど前からは「メインタワー」を使っている。

 市文化振興課の石川善啓課長は「外国人にも分かりやすい提案書づくりにつなげ、観光面でも生かしたい」としている。

 今回の調査では、松本城で興味深かった点についても尋ねており、「木造」「月見櫓(やぐら)」「(天守の)階段」などが上がった。

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