火事装束や甲冑など武士の「ハレの装い」を紹介する企画展=福井県の福井市立郷土歴史博物館

火事装束や甲冑など武士の「ハレの装い」を紹介する企画展=福井県の福井市立郷土歴史博物館

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戦乱ない江戸時代でも重視...越前松平家「ハレの装い」展示 福井市立郷土歴史博物館 11月29日まで

福井新聞(2020年11月14日)

 越前松平家の甲冑(かっちゅう)や陣羽織、火事装束を紹介する企画展が11月29日まで、福井県の福井市立郷土歴史博物館で開かれている。戦乱がなくなった江戸時代でも、武士を武士たらしめる非常時の備えとして重視された「ハレの装い」(佐々木佳美学芸員)を23点展示している。

 越前松平家では、福井藩7代藩主吉品(よしのり)が武具を愛好した「物数奇(ものずき)」とされ、吉品の命で制作された甲冑が残る。「魚鱗(ぎょりん)具足」は、うろこの形に打ち出した鉄板を一枚一枚びょうでつなぎ合わせている。袖はびょう止めの穴を縦長にし、腕の動きに合わせ伸縮しやすいよう工夫されている。福井藩お抱え甲冑師、明珍吉久の高い技術がうかがえる。

 中国の三国時代の軍師諸葛孔明がかぶった頭巾を模した「諸葛巾形兜(しょかつきんなりかぶと)」、国外から輸入した鉄で打ち出したとみられる「南蛮兜」なども並ぶ。

 火事装束は、火災時のみ着用する特別な衣装で、都市に人口が集まり火災が頻発するようになった江戸期に作られるようになった。耐火性に優れ高価な羊毛による生地が用いられ、鮮やかな黄色や紫色に染められている。葵紋がはめ込まれた羽織や、首や襟を覆う真っ赤な「錣(しころ)」などを展示している。

 黒船来航の翌年にあつらえられた16代藩主春嶽の陣羽織なども並んでいる。

 企画展「勇壮のよそおい」は観覧料220円。24日休館。

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