福井県あわら市教委は4月5日、同市細呂木地区の「神宮寺城跡」を市文化財に指定したと発表した。南北朝~戦国時代の特徴を残す城郭遺構で、加越丘陵では最大規模の山城。長期間の戦いに耐えうる国境防衛の重要拠点だったとされる。
神宮寺城跡は、指中区の東側から沢区の春日神社西側にかけての丘陵の山頂(標高55メートル)にある。大きさは東西約270メートル、南北約250メートル。平安時代に開山された神宮寺を内部に持つことから、その名前が付いた。
加賀の一向一揆に対する国境警備、前線基地であったとされている。建物を建てたり、兵士を待機させたりするために地面を平らにした「曲輪(くるわ)」が、小さいものを除いても40近くあり、詰城としての規模の大きさがうかがえる。
最も高いところには主郭曲輪があり、その近くの曲輪を切断するように竪堀がみられる形状は戦国時代の山城の典型で、一乗谷城(福井市)も似た特徴を持つ。敵の侵入経路を限定することで守りやすくした。
そのほか、城跡西側の出入り口「虎口」や、堀を造る際にかけた橋「土橋」などがある。
市文化財指定は今回で56件目となった。