自炊室を改装した「診療所」で備品を確認する師田さん(右)ら

自炊室を改装した「診療所」で備品を確認する師田さん(右)ら

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赤岳鉱泉山岳診療所、開設 八ケ岳連峰初の応急処置拠点

信濃毎日新聞(2021年7月4日)

 八ケ岳連峰の山小屋「赤岳鉱泉」に3日、繁忙期の週末を中心に医師や看護師が滞在する「赤岳鉱泉山岳診療所」が開設された。ファーストエイド(応急処置)を行う拠点の開設は同連峰では初。担当の医師や看護師は「年間の活動を積み重ね、登山の安全のためのモデルケースをつくりたい」と意気込んでいる。

 「診療所」は山小屋と日本登山医学会(東京)でつくる委員会が運営。同医学会認定の山岳医や山岳看護師を中心に2人が交代で滞在する。投薬といった医療行為はしないが、体調不良や冬季の凍傷などの処置を無料で行う。遭難発生時は救助隊などが到着するまでの応急処置を施す。

 3日、登山経験が豊富な医師の師田信人さん(67)=松本市=と看護師の小林美智子さん(50)=千葉県松戸市=が標高2220メートルの山小屋に到着。専用の腕章を付け、入り口横の自炊室を改装した約6畳の「診療所」で備品確認などをした。師田さんは「専用の部屋があれば、利用者も精神的に落ち着く」と話す。

 山小屋では同医学会の検定が周辺で開かれていたため、2018年冬から医師らが滞在する取り組みをしてきた。「診療所」はそれを発展させた形だ。山小屋オーナーの柳沢太貴さん(33)は「他の山域とようやく同じスタートラインに立てた。みんなと協力して登山者のための活動につなげたい」と話した。

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