一年で最も寒い日とされる「大寒」の20日朝、諏訪湖の氷が割れてせり上がる御神渡(おみわた)りの観察地点となっている諏訪市豊田の諏訪湖岸は、厚さ3ミリほどの薄氷が岸辺付近に広がっただけだった。八剣神社(諏訪市)の宮坂清宮司(72)は観察初日からの2週間を「震えるような寒さが無く、諏訪らしくないと感じる」と振り返った。
同地点で氏子らが測った20日朝の気温は氷点下4・4度、水温は3・1度で、ともに19日と同じ数値。氏子らは「なかなか冷えなくてもどかしい」と湖面を眺めた。市内の立石公園からは20日午前8時ごろ、下諏訪町方面の沖合で薄氷が張っている光景が見られた。宮坂宮司は「風の無い日が続くので、沖合に氷が残りやすいのでは」とした。
今季はこれまで全面結氷に至らず、氏子総代らが氷を割って観測する際に使う「氷(こおり)斧(よき)」の出番も少ない。凍った湖に漁師が穴を開けて網を仕かける際に使われた斧で、約10年前に下諏訪町の漁師から譲り受けたという。
宮坂宮司は「厚い氷も割れるように刃も細長くなっており、先人たちの知恵が伝わる。氷斧を思い切り振り下ろせるような厚い氷が張ってほしい」と今後へ期待した。