岡谷市内に滞在した芸術家がシルクをテーマに創作した芸術作品が、岡谷蚕糸博物館に展示されている。地域に滞在して創作活動をする活動「アーティスト・イン・レジデンス」の一環で、市がシルク文化を広く発信する狙いで企画。芸術家が養蚕現場などを訪れ、感じた思いを反映した作品を披露している。
市は本年度、アーティスト・イン・レジデンスに参加する芸術家を募集。参加した5人が手がけた作品を4月3日まで順次、同館に展示している。今月19日までは、繭を収納する棚を模した黒い板に白いチョークで繭を描いた作品や、ふ化した成虫のぬいぐるみなどを並べている。
成虫のぬいぐるみを作った現代美術家の植松ゆりかさん(34)=愛知県=は市内に計7日間滞在し、同館や市内の寺にある蚕の供養塔を回った。シルクや成虫を美しいと思う一方、「美しさ故に、糸を取られて死んでしまう」と感じた。ぬいぐるみの背景にある白い輪は繭をイメージし、紫色などの布で蚕が死後に羽ばたく桃源郷を表現したという。
市ブランド推進室は「芸術という新しい視点でシルクを発信する機会になっている」とする。作品は同館のエントランスで見られ、見学は無料。休館日は水曜日。