「50歳」を迎えるナナちゃんの足元を行き交う人たち=3日、名古屋市

「50歳」を迎えるナナちゃんの足元を行き交う人たち=3日、名古屋市

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伊那市生まれの巨大ナナちゃん50歳に、名古屋駅近くの待ち合わせスポット

信濃毎日新聞(2023年4月4日)

 伊那市で造られ、名古屋駅(名古屋市)近くの待ち合わせスポットとして有名な巨大マネキン「ナナちゃん」が28日、「50歳」を迎える。製作に携わった伊那市前原の小嶋利明さん(76)は「当時こんなに長く活躍するとは思わなかった。誇らしい」。所有する名鉄百貨店(同)は3日、お祝いイベントの概要を発表した。

 ナナちゃんはFRP(繊維強化プラスチック)製で大きさ6・1メートル、重さ600キロ。1973年の設置当時の同百貨店「セブン館」にちなみ、一般公募で名付けられた。現在は「メンズ館」前に移動。同館3、4階には県内と名古屋を結ぶバスが発着する名鉄バスセンターがあり、利用者らにも親しまれている。

 ナナちゃんの製作は同年、同百貨店の担当者が東京の展示会に登場したスイス製巨大マネキンに着目し、同じ物を造って―と高遠町(現伊那市高遠町)の木材製造業「高遠製函」(現MINOウッド)に依頼。当時、同社に勤務していた小嶋さんは実物の大きさにひるんだが「こんな物を造る機会はもう二度とない」と前向きに捉えた。展示会終了後、伊那市美篶にある工場に持ち込み、型取りをした。

 強風に耐える強度を求められ、樹脂を含ませたガラス繊維を通常の何倍も重ね合わせて強度を高めた。塗装などの作業は屋外で行った。納期に間に合わせようと約30人が深夜まで作業し、約1カ月半で完成させた。もう亡くなった人もおり、小嶋さんは「人気者になった姿を見せてやりたかった」。

 退職後、春には高遠城址(じょうし)公園で花見客を案内するようになった小嶋さん。名古屋方面から訪れる客と接する時は、ナナちゃんの話題を出すといい「皆びっくりする。50年たった今も注目されていることは驚き。顔見知りもできた」と笑顔で語る。名古屋に行くと様子を見に立ち寄り、撮影した写真はスマホの待ち受け画面にしている。

 ナナちゃんはこれまで620着以上の衣装を着て、2016年には阿智村の星空鑑賞ツアーもPR。イベントは26日~5月9日、「バースデーウィーク」と銘打ち、初日は誕生日に合わせた特別衣装でお目見えする予定だ。

 期間中、今後着用する衣装デザインを募集。ハンカチやマグカップなどのグッズを新たに31品目用意し、計60品目販売する。ウェブ限定品の注文者を対象に、抽選で昇降機に乗ってナナちゃん目線を体験する企画もある。

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信濃毎日新聞デジタル https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023040301015
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