湾岸戦争を主題にした「弟の戦争」で、アンディの人形を操る松本英司さん(中央)ら

湾岸戦争を主題にした「弟の戦争」で、アンディの人形を操る松本英司さん(中央)ら

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いいだ人形劇フェスタ閉幕 戦争のむごさ人形でたどる、湾岸戦争テーマに上演

信濃毎日新聞(2023年8月7日)

 飯田下伊那地域で開催されている人形劇の祭典「いいだ人形劇フェスタ2023」は6日、閉幕した。最終日は名古屋市を拠点に活動する「演劇企画ポカラの会」が、英国人作家のロバート・ウェストール原作で、湾岸戦争をテーマにした「弟の戦争」を上演。子どもの目線で描く戦争を扱った劇を、来場者は真剣なまなざしで見つめた。

 弟の戦争は、1990年8月のイラクのクウェート侵攻後、英国の12歳の少年アンディにイラクの少年兵ラティーフが乗り移る物語。兄トムがその様子を見守りながら、戦争の実態に触れていく。同会代表の松本英司さん(73)がアンディの人形を操り、他2人のメンバーと演じた。

 両親はアンディを精神科病院に入院させるが、アンディは枕を塹壕(ざんごう)に見立てて戦う。ラティーフが多国籍軍による空爆で亡くなると、アンディは大声を上げて倒れる。

 上演後、松本さんは、アラビア語のあいさつに使われる「アッサラーム・アライクム」は「あなたの上に平和を」という意味だと説明。「今日はこの言葉を持ち帰ってください」と結ぶと、客席から拍手が湧き起こった。飯田市鼎下山の斎木稔貴さん(36)は「戦争当時、自分はテレビで見ていた側。戦場でない場所と戦場のギャップがうまく表現されていて物語に引き込まれた」と話していた。

 最終日は、涼しい朝の時間に人形劇を楽しめる「アーリーモーニング公演」や、国選択無形民俗文化財「黒田人形浄瑠璃」の公演もあった。

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