能登などをテーマに対談する安部さん(右)と池田さん=七尾市和倉温泉の旅館

能登などをテーマに対談する安部さん(右)と池田さん=七尾市和倉温泉の旅館

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国際的視野で地域活性  アジアドラマ会議 安部さん、利家と利長に触れ

北國新聞(2023年12月4日)

 国内外のドラマ、映画関係者が集う国際会議「アジアテレビドラマカンファレンス」は3日、七尾市和倉温泉の旅館「あえの風」で開幕し、北國新聞で小説「銀嶺(ぎんれい)のかなた」を連載中の安部龍太郎さんが対談企画で登壇した。安部さんは作中で描く前田利家、利長父子が生きた戦国期は大航海時代で、港がある能登半島は世界に開かれた場所だったと指摘。地球儀や暦・時計など西洋文化を取り入れたことを挙げ「国際的な視野を持ち、地域を良くするには何が必要か分かっていた」と語った。

 安部さんは、国内だけに視野を向ける武将が多かった中、利家、利長は世界への興味が強かったと強調した。「アジア国際会議は、そうした先人の功績や知恵を再発見するきっかけになる」と述べた。

 「能登に現在も多数残る痕跡を掘り下げれば、日本史を再解釈できる余地がたくさんある。能登は新しい物語を生む可能性を秘めている」とも話した。

  ●「君ソム」監督と対談

 会議は七尾市が主催し、市民参加イベントとして、安部さんと七尾を舞台にした映画「君は放課後インソムニア」(北國新聞社特別協賛)の監督池田千尋さんが、約150人を前に対談した。

 池田さんは映画の原作を読み、自身の高校時代を思い出したと振り返り「何でもない時間が輝いていたと感じ、映画に生かしたいと思った」と創作の動機を語った。

 七尾出身の画聖長谷川等伯を描いた安部さんの代表作「等伯」についても話が及び、池田さんが「等伯の人間くささは『君ソム』の主人公に重なる」と水を向けると、安部さんは「等伯はダメな自分と徹底的に向き合い、(国宝の)『松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)』につながった。弱さの中に宝物が隠されている」と応じた。

 司会は七尾高OGで日大芸術学部教授の中町綾子さん(志賀町出身)が務め、映画「君ソム」が上映された。開会セレモニーでは茶谷義隆市長があいさつして歓迎し、金沢星稜大の大森重宜教授が講演した。

 会議には日中韓、台湾、シンガポール、タイ、マレーシアの7カ国・地域から約320人が参加。4日にセミナーや討論会を開き、5日は能登を巡るツアーが行われる。

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