長野市鬼無里の大望(だいぼう)峠にある展望台からはこの時期、本格的に雪をまとい、駆け足で冬の装いへと姿を変える北アルプスのパノラマが眼前に広がる。
紅葉を終えた木々がすっかり葉を落とし、寒々とした初冬の風景が広がる山里の向こうには、冠雪して白く染まった鹿島槍ケ岳、五竜岳、唐松岳などの稜線(りょうせん)が青空にくっきりと映える。
地元住民らが案内板やベンチを整備してきた展望台には、紅葉の季節を中心に年間を通して県内外の写真愛好家が大勢集まる。今月2日も早朝から10人ほどが三脚を並べ、「すばらしい眺めだね」「空と雪のコントラストがきれい」と感嘆の声を上げながら会心の一枚を狙っていた。
今年から展望台に通い始めた長野市上野の団体職員原山公作さん(61)は「影や雲が刻々と変化して飽きない」。白い息を吐きながら盛んにシャッターを切っていた。