山ノ内町志賀高原の国天然記念物「石の湯のゲンジボタル生息地」で、ホタルの乱舞が始まっている。4日は、午後7時半ごろから淡い黄緑色の光が闇を舞い始め、幻想的な光景が見られた。
同町教委によると、生息地は国内で最も高い標高約1600メートルにあり、広さは15ヘクタール余。ホタルが繁殖する岩倉沢川には3カ所から温泉が流れ込み、年間を通して水温が20度前後に保たれることから、他の生息地に比べ成虫の寿命が長く、発生期間が平均3カ月以上と長いという。
生息地は「長野ホタルの会」が川の清掃などをして保護を続けている。近くの「石の湯ロッジ」オーナーで同会会員の内田昇次さん(71)によると、今年は発生が早く、この時期にしては例年になく数が多いという。約20年前から観察を続ける内田さんは「見に行くと光って応えてくれる。心に染みる光が魅力」と話した。
志賀高原観光協会によると、観察に適しているのは日没後30分から午後9時ごろまでで、気温、湿度共に高い蒸し暑い日はよく舞うという。生息地の遊歩道が狭く、混雑時に三脚を使っての写真撮影はできない。ホタルを保護するため、光を出すスマホや懐中電灯などの使用を控え、「直に目で見て楽しんで」と呼び掛けている。